1985 年 4 巻 p. 11-16
Waardenburg症候群の症状を示すネコおよびイヌの内耳および眼の組織学的観察を行った。
聾ではない本症候群ネコの外耳,中耳伝音系および内耳膜迷路に特別異常な所見は認めなかった。
聾の本症候群イヌの外耳および中耳伝音系に異常な所見は認めなかったが,内耳膜迷路に異常が認められた。蓋膜表面上にカルシュームの沈着を認めた。コルチ器の感音組織である内・外有毛細胞は認められず,蝸牛神経繊維はトンネル部まで認めるが,その先は認めなかった。
本症候群イヌの眼の網膜視部,脈絡膜および強膜を電子顕微鏡を用いて観察した。その結果,虹彩異色眼側の脈絡膜に色素顆粒およびタペータムの欠落が観察された。色素上皮,杆状体錐状体層,神経細胞などには何らの差異を認めなかった。虹彩については同様の観察は行っていない。