比較眼科研究
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幼若ビーグルの視覚器の発達と検査時に発生した眼病変
久世 博
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1990 年 9 巻 1-2 号 p. 33-38

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抄録

ビーグルの視覚器の発達を出生直後から経時的に6カ月間にわたり,肉眼観察および電気生理学的手法により検索した。眼瞼開裂は生後9~12日齢にみられた。視覚誘発電位(VEP)では,12日齢から陰性波を記録した。一方,網膜電位(ERG)では,16~19日齢でa波が現れ,b波はやや遅れて18~22日齢で出現した。また,律動様小波は23~25日齢で発生したが,各波(O1, O2, O3, O4)が明瞭となるのは6週齢を過ぎてであった。aおよびb波の潜時時間は4週齢以降はほぼ安定し,6カ月齢まで殆ど同様であった。なお,眼圧測定では17日齢から25mmHg前後の値を示し,成犬のそれとほとんど変わらず6カ月齢まで安定した値を示した。

ERGおよびVEP検査時の光刺激に基づくと思われる眼底出血が観察された。網膜出血は19例中4例に発現し,1例では両側性,残り3例では片側性であった。また,出血部位はいずれも乳頭横鼻側であり,出血発生日は21~26日に集中した。出血は一過性のものであり,早いものでは6日,遅いものでは50日で出血跡は消失した。

その他,ERG検査後に角膜混濁および血管新生が1例で認められた。

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© 1990 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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