2019 年 3 巻 4 号 p. 370-374
2018年4月にわが国6番目の国立美術館組織として誕生した国立映画アーカイブについて、組織の構造と名称の由来を述べ、映画フィルムの収集に関する“網羅的”な原則とそれを実現するための多年にわたる努力、対象となる自国映画遺産の巨大な量などを論じる。また、映画保存の観点からフィルムアーカイブに相応しい上映番組の在り方や、コレクションの利活用に関して期待されるデジタル・アーカイビングの方向性について分析し、世界のアーカイブ・コミュニティで、復元の倫理を逸脱するものとして問題視されている“スーパーエンハンスメント”についても短く言及する。