本稿は、地図データを防災に活用する際に生じる著作権上の課題に対し、ハイパーレイヤリング技術が有効な解決策となり得ることを、2024年度デジタルアーカイブ学会DAセッションの議論を踏まえて検討するものである。ハイパーレイヤリングは、データを複製せずリンクで表示する技術であり、著作権法上の「複製」や「送信」に該当しないと整理されている。セッションでは、福井健策弁護士がリンク表示の合法性を明確に示し、目黒公郎教授らが実務的な意義を確認した。本稿ではこの法的整理だけでなく、倫理的検討を行うことを通じて、防災と公共性の観点から今後の地図データの防災活用を展望する。
本稿は、映画作家・大林宣彦の制作過程資料を対象として、デジタルアーカイブ化における論点を検討するものである。筆者は、2023年に広島県内の保管倉庫を訪問したことを契機に、未整理状態にある映像媒体および文字媒体の構成と保管状況について継続的に状況把握を試みてきた。本ケーススタディは、今後本格化する私蔵資料研究の前段階として、その基盤となる過程を検証し、資料の「保存」「修復」「公開」「活用」に関わる課題を明らかにする。その上で、研究目的を起点として資料を暫定的に分類・照合する実践を「研究的試掘」と位置づけ、継承可能な保存・活用の枠組みを検討することを目的とする。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら