2021 年 5 巻 s2 号 p. s164-s167
チベット・ヒマラヤ地域の人々は、様々な文化圏の影響を受けながら、冷涼かつ乾燥した高地という環境を活かした伝統的な生業を発達させてきた。周辺地域との影響関係については平田がユーラシア各地の乳製品の加工プロセスを広く調査し、説得力のある説を提示している。本研究では、乳加工プロセスの比較研究の手法をその他の資源にも応用し、周辺地域との影響関係や地域ごとの独自発展の様相を、より多層的に考察することを目的とし、チベット・ヒマラヤ牧畜農耕資源データベースを共同で構築中である。様々な言語の文献から当該地域における各種牧畜農耕資源の加工プロセスに関して収集したデータを共有し、地理情報や年代情報、コメントとともに入力し、地域間比較研究のために活用している。本発表では、このデータベースを活用した、乳加工・乳製品の地域間比較研究の事例紹介と、今後のフィールド調査に向けた調査票の準備状況について報告する。