抄録
軟弱地盤上のアースフィルダムは、堅硬な岩盤基礎上の一般的なアースフィルダムとは異なり、常識的と思われる断面のダムでも、その安定性に問題がある。最大深40mの軟弱地層を有する宮城県北部の長沼ダムでは、円弧すべりの計算安全率が安定のための基準値である1.2を満足するために、地盤改良としてグラベルコンパクションパイルを採用した。安定性上効果的で経済的である改良パターンを決定し、堤体と同程度の規模の試験盛土によって地盤、堤体の動態観測を行い、その安定性を確かめ、パイル施工により懸念される新たな浸透問題を、現地通水試験によって明らかにして、アースフィルダムの安定性について総合的に評価した。