日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
異なるゲル化剤を用いた3種のお茶ゼリーの動的粘弾性特性
中村 彩子高橋 智子大越 ひろ
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 11 巻 3 号 p. 169-178

詳細
抄録

本研究では,カラギーナン製剤,ゼラチン,寒天を用いて調製した軟らかなお茶ゼリーについて,動的粘弾性測定を行った.測定に用いたゼリーは,20℃ 20h静置時の硬さが1×103 (N/m2) となる添加濃度で調製した.そして,動的特性値と高齢者での官能評価結果との対応について検討を行った,

その結果,以下の知見を得た.

1.寒天ゼリーの線形領域は,10℃,20℃のいずれの温度においても,カラギーナン製剤ゼリーおよびゼラチンゼリーよりも狭いことが示された.つまり,寒天ゼリーは,カラギーナン製剤ゼリーおよびゼラチンゼリーに比べ狭く,小さな力で変形するゼリーであるといえる.

2.本研究で用いたゼリーは全て,10℃および20℃のどちらの温度においても,周波数の減少に伴い緩やかにG' 値が減少する weak gel であることが確認された.つまり,ごく軟らかな硬さに等しく調製されたゼリーであれば,ゲル化剤の種類に関係なく,しなやかで飲み込みやすいと言われる weak gel が得られる可能性が示唆されたといえる.

3.20℃お茶ゼリーは,官能評価における飲み込みやすさには有意差が認められなかったが,硬さ以外の力学的特性値には有意差が認められた.つまり,ごく軟らかな硬さに等しく調製されたゼリーであれば,ゲル化剤の種類が飲み込みやすさに与える影響が小さくなる可能性がある.

著者関連情報
© 2007 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
次の記事
feedback
Top