日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
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最新号
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
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原著
  • 山本 祐士, 佐藤 秀夫, 金田 尚子, 岩下 洋一朗, 橋口 真紀子, 伴 祐輔, 山﨑 要一
    2020 年 24 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】小型3Dカメラによる口唇動作の測定と嚥下造影検査(VF)による嚥下動態の撮影を同時に行い,同期・解析し,嚥下時における口角間距離,嚥下時間ならびに嚥下量の関連性を明らかにする.

    【方法】小型3D カメラとして,Microsoft XBox One Kinect Sensor®(Kinect)を用いた.Microsoft 社から提供された開発ソフトウェアを利用して,対象の顔面形状を自動認識し両側口角部の3 次元座標を取得することで,口角間距離を記録できるプログラムを作成した.

    Kinect によりマネキンの口角間距離を一定の条件下における測定精度と再現性を検証し,被験者を対象とした測定に最も適した条件を検討した.

    検証結果を基に,試料嚥下時のKinect による口唇動作とVF による嚥下動態を同時測定し,ビデオ音声同期ソフトELAN により得られた情報を同期・解析した.対象は,摂食嚥下機能に異常のない成人男性12 名(平均年齢27.8±1.2 歳)とし,試料は硫酸バリウム混濁液5 mL,10 mL,15 mL,20 mL の4 種類とした.試料嚥下時における口角間距離の変位量(変位量)と嚥下量,嚥下時間と嚥下量に関して一元配置分散分析,Pearson の積率相関係数を算出し検討した.試料を口腔内に保持する位置 (保持位置),口唇動作ならびに嚥下量に関してFriedman 検定にて検討した.

    【結果】最適条件(距離120 cm/ 回転角度10°)でのKinect による測定において,口角間距離は標準偏差±0.52 mm,実測値と測定値の差は0.47 mm で最も高い精度であった.

    成人男性での嚥下量と変位量には有意差ならびに相関を認め (p<0.01, r=0.56),嚥下量と保持位置には有意差を認めた (p<0.01).しかし,その他の項目に関して,有意差を認められなかった.

    【結論】本研究により,Kinect による口角間距離の測定精度と再現性を明らかにした.口唇動作の測定と嚥下動態の撮影を同時に行い,同期・解析が可能となるシステムを構築した.嚥下量と変位量には有意差ならびに相関関係を認め,嚥下量と保持位置には有意差を認めた.一方で,他の項目において有意差は認められなかった.

  • 小山 珠美, 若林 秀隆, 前田 圭介, 篠原 健太, 平山 康一, 社本 博, 百崎 良
    2020 年 24 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】当院では,チーム医療による早期経口摂取開始に取り組んできた.誤嚥性肺炎患者に対する入院後早期の経口摂取開始が,在院日数と退院時経口摂取に及ぼす影響を検討した.

    【対象と方法】2014 年4 月から2018 年3 月までに誤嚥性肺炎で当院に入院した65 歳以上の380 名を対象とした.死亡者を除外した.年齢,性別,要介護度,入院前生活場所,入院時肺炎重症度分類(ADROP),入院後経口摂取開始までの日数,入院後2 日以内の経口摂取開始,リハビリテーションの有無,経口摂取開始後発熱,在院日数,退院時摂食嚥下レベル(FOIS),退院時経口摂取の有無,自宅退院の有無を診断群分類包括評価(DPC)データから後方視的に調査した.また,チーム医療無群とチーム医療有群に分類し,両群を比較したうえで,早期経口摂取による在院日数,退院時経口摂取への影響を検討した.統計解析は単変量解析としてカイ2 乗検定,t 検定,Mann-Whitney のU 検定,多変量解析として重回帰分析,ロジスティック回帰分析を行い,有意水準は5% 未満とした.

    【結果】対象者の年齢(平均値±標準偏差)は85.9±7.0 歳,経口摂取開始日(中央値)は3 日,在院日数(中央値)は21 日,退院時経口摂取は294 名(77%)であった.チーム医療有無群で比較すると,単変量解析では,入院時A-DROP, リハビリテーション介入,退院時FOIS, 退院時経口摂取,在院日数に有意差がみられた.多変量解析では,在院日数に有意に関連した因子は,要介護度(β =-0.215),入院前生活場所(β= 0.146),チーム医療(β=-0.151),入院後2日以内経口摂取開始(β=-0.134),リハビリテーション介入(β = 0.145),経口摂取開始後発熱(β = 0.202),退院時FOIS(β =-0.280),退院先(β = -0.184)であった.退院時経口摂取に有意に関連した因子は,年齢(オッズ比= 1.039),チーム医療(オッズ比= 3.196),入院後2 日以内の経口摂取開始(オッズ比= 4.095)であった.

    【考察】急性期医療でのチーム医療による早期経口摂取開始は,在院日数を短縮し,退院時経口摂取率を高める可能性が示唆された.

  • 河村 敦子, 篠木 由樹, 田村 ひかり, 堀田 真帆, 米村 礼子, 堤 雅恵
    2020 年 24 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】現在高齢化率は27.7% と過去最高となり,高齢者の誤嚥性肺炎による死亡率が高いことが問題視されている. 本研究の目的は,地域に在住する65 歳以上の高齢者の口腔ケアおよび摂食機能の実態を明らかにし,嚥下体操の研修会の前後で,自ら摂食機能を健康管理することへの意識の変化を明らかにすることである.

    【方法】老年看護学教員と看護学生3 名とが,地域の5 ヵ所の老人クラブを訪問し,口腔ケアの重要性,嚥下体操・唾液腺マッサージおよびパタカラ口腔体操の指導の介入を実施した.介入の前後で,口腔・摂食機能,口腔ケアの状況,加齢に伴う口腔機能低下への認識および自己健康管理方法に関して,自記式質問紙調査を行った.

    【結果】アンケート調査において有効回答が得られた77名(平均年齢76.3±6.1 歳:男性33名,女性44名)を研究対象とした.参加者の21% は独居で,1 日の食事回数は90% の人が3 回であった.介入前の歯磨きの平均回数は2.4±1.1 回/ 日で,朝食後や就寝前に行われることが多かった.研究参加者の62.3% に義歯があり,約40% の参加者に食事中にむせる症状や口渇があることが示された.介入前の嚥下体操の認知度は35.1% で,摂食機能に対する健康管理への意識がある人は41.6% であった.介入後に摂食機能に対する健康管理への意識が変化した人は74.0% で,歯磨きを行おうとする回数が有意に増加した (p=.000).参加者のうち31.2% の人が,嚥下体操の継続の意志を示した.

    【結論】口腔ケアおよび嚥下体操の指導は,地域高齢者の約7 割の人々に,摂食機能に対する健康管理への意識の変化をもたらし,歯磨きを実施しようとする回数を有意に増加させた.しかし,一度では知識の定着は困難であるため,継続して研修会の機会を設ける必要性が示唆された.

  • ―口腔ケアに難渋する症例への対応―
    杉山 明宏, 牧野 日和, 大澤 功, 山本 正彦
    2020 年 24 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,日本版感覚プロファイル短縮版(SSP-J)を用いて高齢者の触覚過敏が脱感作療法によって軽減するかどうかを明らかにし,拒否反応の状態および開口保持の状態が変化することで,口腔機能に影響を与えるか否かを検討することである.

    【対象および方法】嚥下障害の診断で入院し,言語聴覚士(ST)が嚥下訓練を実施した患者522 名から,1)自立した口腔ケアが困難な者,2)触覚過敏による拒否反応によって看護師の口腔ケアおよび食事の介助が困難な者,3)認知症と診断されている者,を満たした患者を抽出した.年齢は,SSP-J に準拠して65 歳以上82 歳までとした.

    訓練は,ST による脱感作療法後に口腔ケアを1 週間に5 回の頻度で行い,5 週間継続した.SSP-J による感覚刺激反応,改訂口腔アセスメントガイド(ROAG)による口腔機能の評価を行った.さらに,脱感作療法中の拒否反応の変化および口腔ケア中の開口保持方法の変化を記録した.

    【結果】抽出患者は20 名であった.脱感作療法後は,SSP-J の触覚過敏性および拒否反応が低下し,触覚過敏が軽減した.口腔機能の改善は特に「唾液」の項目で顕著であった.8 症例で開口保持具が不要となり,口腔ケアを受容した.

    【考察】脱感作療法の継続的な施行によって,高齢者の触覚過敏に軽減を認めた.先行研究より高い改善傾向を示した.脱感作療法においては,一度の介入時間を延長するよりも一定の介入で集中的に訓練するほうが有効である可能性が示唆された.脱感作が奏功しなかった患者に対しては,他の表在・特殊感覚刺激を複合・統合的に導入した新たな脱感作療法の構築が重要である.

    脱感作療法後は,開口保持が容易となったことで固有口腔内の口腔ケアが施行可能となった.ROAG における唾液の項目に改善がみられ,口腔内湿潤度が増加したと考えられた.

短報
  • 藤本 淳平, 中村 達也, 岸 さおり, 稲田 穣, 上石 晶子
    2020 年 24 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】重症心身障害児者の食塊移送時の下顎,舌,舌骨の動態を健常成人と比較することにより,食塊移送時における重症心身障害児者の摂食嚥下関連器官の動態特徴を明らかにすることを目的とした.

    【対象および方法】健常成人14 名(健常群)と重症心身障害児者14 名(障害群)のペースト食品3-5 mLの嚥下を嚥下造影検査(VF)を用いて撮影し,30 フレーム/ 秒で動画記録した.画像上に第二頸椎および第四頸椎を結んだ線分を基準線とする座標系を設定し,フレームごとにオトガイ結節,上顎中切歯舌側歯頸部最下点と喉頭蓋谷最下点を結ぶ直線の中心から放射状に8 等分した直線と舌表面の交点,舌骨体の上端と下端を結んだ直線の中間点,食塊頭部と食塊尾部の座標位置を追尾することで下顎,舌,および舌骨の運動方向ごとの運動開始のタイミングと持続時間を測定した.そして,下顎の咬合位到達から舌の蠕動運動終了までの一連の運動を移送シークエンスとし,健常成人のシークエンス数(1 回)を基準に,健常成人と同等であった者を移送良好群(7 名),健常成人よりも大きかった者を複数回移送群(7 名)に割付け,測定結果を群間比較した.

    【結果および考察】群間比較の結果,下顎が咬合位を持続している時間は複数回移送群において健常群(p=0.015)と移送良好群(p=0.002)に比べて有意に短く,舌前方と硬口蓋が接触している時間は健常群(p=0.023)と移送良好群(p=0.001)に比べて有意に短かった.そして,複数回移送群において,下顎の開口開始は舌骨挙上の直後に生じていた.これらの結果より,複数回移送群の食塊移送では,下顎の咬合位が持続しないことにより舌が口蓋から離れてしまうことで食塊移送に必要な舌圧が持続せず,複数回の移送運動を繰り返すといった特徴があると考えられた.

    【結論】重症心身障害児者のうち,複数回の移送シークエンスを示した群では,咬合時間および舌前方と口蓋の接触時間が健常成人や食塊の移送が良好な重症心身障害児者に比べて短かった.

症例報告
  • 林 佐智代, 遠藤 眞美, 三枝 優子, 野本 たかと
    2020 年 24 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【緒言】発達期の障害児・者の丸飲みなどの咀嚼機能障害は,食物特性に対する感覚処理の未学習や誤学習によることが多い.そこで,今回,丸飲みをする児に対して,咀嚼する食物と丸飲みする食物を組み合わせることによって,咀嚼する食物の種類を増やす訓練法を考案した.

    【対象】12歳4カ月のDown症候群の女児であった.食事中に時々詰まった様子で苦しがり,むせ込むことがあることを主訴に来院した.食事形態は特別支援学校では後期食,自宅では普通食を一口大にきざんだ物であった.

    【経過】初診時において,持参した食物は一口大の普通食であり,口唇閉鎖不全による食べこぼしとすべての食物で丸飲みを認めたため,捕食訓練と前歯咬断訓練を保護者に指導した.その後,同様の指導およびスルメによる咀嚼訓練を行ったところ,「カリカリ」「パリパリ」する食感の食物で咀嚼の動きが認められるようになった.しかし,軟らかい食物では改善が認められなかったため,誤学習が丸飲みの原因と判断し,漬物と米飯,きゅうりとハンバーグなどの咀嚼する食物と丸飲みする食物を組み合わせることで咀嚼を促し,同時に丸飲みする食物の硬さや音,味を感受させ,感覚処理を再学習させることを目的に前歯咬断訓練を行った.これにより,丸飲みする食物単体でも咀嚼が認められるようなり,繰り返し行うことによって多くの食物で咀嚼を認めるようになった.

    【結論】発達期の障害児・者における丸飲みに対し,咀嚼する食物と丸飲みする食物を組み合わせることで,咀嚼する食物の種類を増やすことができた.食物の組み合わせによる前歯咬断訓練は,誤学習による改善困難な丸飲みへの訓練法として有効なことが示唆された.

  • 中尾 雄太, 山下 泰治, 齋藤 翔太, 金森 雅, 南都 智紀, 笠間 周平, 内山 侑紀, 道免 和久
    2020 年 24 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    症例は63 歳男性,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者である.上肢の巧緻運動障害,歩行障害,体重減少で発症し,ALS と診断された.その後,緩徐に呼吸機能と嚥下機能が低下し,夜間NPPV 導入および軟菜食,水分にとろみ付けを行い自宅で生活していた.今回,誤嚥性肺炎による呼吸不全のため救急搬送され,気管切開・人工呼吸器管理などの集中治療のため安静臥床を要した.舌圧を含む嚥下関連筋の急激な筋力低下を認めたことから,原疾患の進行のみならず,臥床に伴う廃用症候群の合併を考慮し,負荷量に留意した舌筋の筋力増強訓練を施行した.その結果,最大舌圧および嚥下機能の改善を認め,3 食経口摂取となった.ALS においても,廃用の要素が大きい際には嚥下筋の筋力増強訓練は有効である可能性が示唆されたため,文献的考察とともに報告する.

  • 根本 玲, 相良 亜木子, 沢田 光思郎, 杉山 庸一郎, 櫻井 桃子, 川上 愛加, 大橋 鈴世, 三上 靖夫
    2020 年 24 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】皮膚筋炎に伴う重度の摂食嚥下障害は,回復まで長期間を要するとされている.さらに間質性肺炎と縦隔気腫を伴うと,治療はより困難になる.われわれは皮膚筋炎に間質性肺炎と縦隔気腫を合併し,重度の摂食嚥下障害をきたした症例に対し,リハビリテーション治療を行い良好な経過を得た.本症例で実施した摂食嚥下リハビリテーション治療の工夫と経過について報告する.

    【症例】69 歳男性.四肢の関節部痛と筋力低下,嚥下困難感を訴え,皮膚筋炎と診断された.間質性肺炎を併発し,プレドニゾロン,免疫抑制剤による薬物療法が開始されたが,嚥下困難感が増悪したため,リハビリテーション科に紹介された.嚥下造影検査では咽頭収縮は不良で,嚥下内視鏡検査(以下VE)ではとろみ水(段階1 よりうすいとろみ),ゼリー(コード0j)で誤嚥,喉頭蓋谷残留を認めた.摂食嚥下障害臨床的重症度分類2,藤島グレード2 であった.摂取エネルギー維持目的に経管栄養を開始した.過用による皮膚筋炎増悪防止のため頭部挙上運動などの間接訓練は実施せず,とろみ水(段階1)とゼリー(コード0j)の複数回嚥下による直接訓練を開始した.2 週間後,胸部CTで縦隔気腫と診断された.直接訓練では,縦隔気腫の増悪や縦隔炎の予防目的にゼリーを中止したが,摂食嚥下機能向上を目的にとろみ水(段階1)のみ継続した.疲労感,とろみ水摂取量,血清CK値,VE所見から摂食嚥下機能を総合的に評価し,食形態を段階的に変更した.12 週で,摂食嚥下障害臨床的重症度分類6,藤島グレード7 に改善し,1 日3 食の嚥下調整食(コード4)の摂取が可能となった.13 週目,亜急性期病院に転院した.

    【結論】皮膚筋炎に間質性肺炎と縦隔気腫を合併し,重度の摂食嚥下障害をきたした症例に対してリハビリテーション治療を行った.皮膚筋炎の過用に注意して経鼻経管による栄養管理を行い,縦隔気腫を増悪させないために間接・直接訓練を工夫することで,摂食嚥下機能の向上が得られた.

総説
  • ―症例報告と観察研究論文に記載すべき事項―
    渡邊 裕, 新井 伸征, 青柳 陽一郎, 加賀谷 斉, 菊谷 武, 小城 明子, 柴本 勇, 清水 充子, 中山 剛志, 西脇 恵子, 野本 ...
    2020 年 24 巻 1 号 p. 77-89
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/08/31
    ジャーナル フリー

    【目的】摂食嚥下リハビリテーションに関する臨床および研究は,依然として未知の事柄が多く,根拠が確立されていない知見も多い.今後さらに摂食嚥下リハビリテーションの分野が発展していくためには,正しい手順を踏んだ研究が行われ,それから得られた知見を公開していく必要がある.本稿の目的は臨床家が正しい知見を導くために,研究報告に関するガイドラインを紹介し,論文作成とそれに必要な情報を収集するための資料を提供することとした.

    【方法】日本摂食嚥下リハビリテーション学会誌に投稿される論文は症例報告,ケースコントロール研究,コホート研究,横断研究が多いことから,本稿では症例報告に関するCase report(CARE)ガイドラインと,The Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology Statement(STROBE 声明)において作成された,観察研究の報告において記載すべき項目のチェックリストについて紹介した.

    【結果】CAREガイドラインについては,症例報告の正確性,透明性,および有用性を高めるために作成された13 項目のチェックリストを説明した.STROBE 声明については研究報告の質向上のために作成された,観察研究の報告において記載すべき22 項目のチェックリストを解説した.

    【結論】紹介した2 つのガイドラインで推奨されている項目をすべて記載することは理想であるが,すべてを網羅することは困難である.しかしながら,これらのガイドラインに示された項目を念頭に日々の臨床に臨むことで,診療録が充実しガイドラインに沿った学会発表や論文発表を行うことに繋がり,個々の臨床家の資質が向上するだけでなく,摂食嚥下リハビリテーションに関する研究,臨床のさらなる発展に繋がっていくと思われる.本稿によって,より質の高い論文が数多く本誌に投稿され,摂食嚥下リハビリテーションに関する臨床と研究が発展する一助となることに期待する.

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