日本透析医学会雑誌
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症例報告
脾臓低形成にInvasive pneumococcal bacteremiaをきたした1例
塩津 弥生八田 告丹田 修司立川 弘孝槙 系澤田 克徳
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2007 年 40 巻 11 号 p. 925-929

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抄録
症例は65歳, 男性. 既往は特になし. 肺炎球菌敗血症を発症, 急速に播種性血管内凝固症候群 (DIC), 多臓器不全に至った. 明らかな感染巣は認めず, CT上脾臓のサイズが小さく, 末梢血にてHowell-Jolly小体を認めたため, 急激な敗血症発症に脾臓低形成の関与が疑われた. 敗血症, 急性腎不全に対して持続的血液濾過透析 (CHDF), ポリミキシンB固定化カラムを使用したエンドトキシン吸着療法 (PMX-DHP) を施行, さらに肝不全に対して血漿交換などの集中的血液浄化を行ったが第14病日に死亡した. 脾臓は血液中に含まれる微小異物に対する最初のフィルターとなっており, また肺炎球菌莢膜多糖体抗体を産生している. 脾機能が低下した症例では莢膜を有する肺炎球菌感染が重症化しやすく, 本邦でも脾摘後重症感染症の報告は散見される. しかし成人の脾臓低形成における報告はほとんど認めず, 稀少な症例と考え報告する.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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