日本透析医学会雑誌
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症例報告
腹部大動脈人工血管の仮性動脈瘤破裂,および右大腿回旋動脈の仮性動脈瘤破裂をきたした血液透析患者の1例
北村 哲也森本 聡万木 孝富岡本 貴行来島 泰秋福井 政慶中嶋 章貴岩坂 壽二
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2009 年 42 巻 12 号 p. 959-964

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抄録
症例は67歳,男性.既往歴として,閉塞性動脈硬化症に対して2003年6月に,Aorto-bifemoral bypassを受けた.また腹部大動脈人工血管に仮性動脈瘤を生じ,人工血管置換術,ステントグラフト挿入術を受けていた.その後腎機能低下のため2006年3月に,血液透析が開始となった.2006年11月20日右大腿部の疼痛および腫脹を認めたため当科に入院した.CTにて右大腿部の血腫,血管造影にて右大腿回旋動脈瘤破裂によると思われる出血点が2箇所にみられたため同部位に塞栓術を施行された.第37病日には,人工血管仮性動脈瘤破裂をきたしたが,破裂部の閉鎖術に成功した.透析患者は,動脈硬化性疾患の発症のリスクが高く,透析患者が下肢痛や腫脹を認めた場合には,本症例のような下肢動脈瘤破裂も鑑別疾患の1つとして考慮すべきであると考えられた.
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© 2009 一般社団法人 日本透析医学会
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