日本透析医学会雑誌
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症例報告
拡張型心筋症による心原性ショック,多臓器不全に対し急性血液浄化法を施行し補助人工心臓装着に至った1例
土井 洋平吉原 史樹中村 敏子小川 浩司井口 公平植田 初江屋宜 宣仁堀尾 武史岩嶋 義雄林 輝行中谷 武嗣大塚 頼隆河野 雄平
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2010 年 43 巻 10 号 p. 847-851

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抄録
症例は10歳代,男性.200X年3月下旬に咳嗽あり.4日後より呼吸困難が出現し近医受診.胸部X線で心陰影の拡大,また酸素飽和度80%台の低酸素血症を認め急性心不全の診断で挿管され緊急入院.昇圧剤の使用,大動脈バルーンパンピング(IABP)挿入されるも血行動態維持できず,経皮的心肺補助装置(PCPS),心臓移植を含めた治療検討目的に当センターへ転院.血行動態維持のためPCPS挿入,また右室心内膜心筋生検施行し拡張型心筋症と診断.心原性ショックによる腎不全,肝不全に対し血液透析(HD),血液濾過(HF),血漿交換(PE)施行.その後肝機能,腎機能の改善を認め,心臓移植までのbridge useを前提とした左室補助人工心臓(LVAS)装着術を施行.著しい低心機能による心原性ショックから多臓器不全をきたしたが,HD,HF,PEによりLVAS装着が可能となった症例を経験したので報告する.
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© 2010 一般社団法人 日本透析医学会
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