抄録
在宅血液透析における患者による自己穿刺の容易性を高めるため,自己穿刺補助具を開発した.補助具のプロトタイプは三次元立体造形技術により,アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂を用いて製造された.当該補助具は,台座部,延設部,アーム部,突起部,および血管を圧迫固定するための弾性的な付勢手段としてのトーションバネから主に構成された.穿刺する際,アーム部をトーションバネの付勢力に抗して揺動させて腕を挿通し,突起部にて血管を押圧する.さらに,その押圧状態から患者の腕を穿刺方向にわずかにずらすことにより,血管を伸展固定できるように設計された.