2011 年 44 巻 9 号 p. 969-975
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は重度の視神経炎と脊髄炎を特徴とする炎症性脱髄性疾患である.抗アクアポリン4(AQP4)抗体は2004年にLennonらによって報告され,NMOの診断に有用な抗体として知られている.今回経験した2例はともに抗AQP4抗体陽性であり,NMOに特徴的とされている3椎体以上の病変を伴うが,視神経炎の所見は乏しく,NMO関連疾患であった.急性期にはステロイドパルス療法が有効とされているが,無効な場合は血漿交換療法が有効であるとの報告もあり,今回経験した2例ともステロイドパルス療法に抵抗性であったため,血漿交換療法を行った.血漿交換療法としては,単純血漿交換(PE)に比べて血漿補充を必要としない免疫吸着療法(IAPP)を選択した.IAPP開始後より,2例とも速やかに症状の改善を認め,ステロイドを含めた免疫抑制剤の減量が可能であった.IAPPはステロイド治療抵抗性のNMOに有効な治療法の一つであると考えられた.