日本透析医学会雑誌
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原著
「透析中」における内シャント血流量と実血流量の変動要因に関する研究
人見 泰正林 道代衣川 由美中川 隼斗笹原 知里廣田 英二鳥山 清二郎高村 俊哉佐藤 暢藤堂 敦西垣 孝行水野(松本) 由子
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2012 年 45 巻 9 号 p. 863-871

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抄録
透析中における経時的な内シャント血流量(flow volume:FV)と実血流量の変動傾向の解析と,透析中にそれらが低下しやすい症例が持つ危険因子の抽出を行った.対象は,維持血液透析患者64例,観察期間は2か月とした.方法は,対象全例に対して,透析(0,1.5,2.5,4.0)時間値に,FV,実血流量,血圧(収縮期,拡張期)を測定し,以下の8項目について検討した.[1]FV,実血流量,血圧の推移,[2]FV,実血流量,血圧の相関解析,[3]対象の分別(FV低下群/不変群),[4]FV低下群/不変群における血圧の推移,[5]FV低下に寄与する因子の抽出(16項目),[6][5]で抽出された因子別のFV推移,[7]石灰化群とFV低下群のシャント静脈拡張率,[8]石灰化・糖尿病の有無別におけるFV推移.検討の結果,FVと実血流量は透析中有意に低下し,両者の間には有意な正相関がみられた(R=0.76).しかし,FVと血圧に相関関係はみられなかった(R=0.17).FV低下に高い寄与率を有する因子を検討した結果,「シャント血管石灰化,ABI異常,糖尿病」が抽出された.中でもシャント血管石灰化の寄与率は高く(x2統計量=15.2),これはシャント血管の拡張機能低下にも大きく関与していた.これらの結果から,実血流量の低下はFV低下に伴うものであり,その要因にはシャント血管石灰化(コンプライアンス低下)が含まれる可能性が高いと考えられた.シャント血管に石灰化を有し,全身性の血管荒廃がみられる症例は,透析中にシャント血流が低下し,予期せぬ透析効率低下を招く危険性がある.
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© 2012 一般社団法人 日本透析医学会
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