2014 年 47 巻 11 号 p. 691-696
症例は77歳, 女性. 心腎不全の増悪, 高カリウム血症, 完全房室ブロックで入院した. 以前から, 虚血性心筋症による慢性心不全, 腎硬化症, 慢性膿胸があり, 心不全の増悪を繰り返していた. 腎硬化症は進行し, 心腎不全の増悪, 高カリウム血症に対して緊急血液透析を施行. その後, フロセミド, インダパミドにより水分管理を行ったが, 腎機能は増悪し, 週2回の慢性血液透析に移行した. 導入1年後に尿量は300mL/日以下となり, トルバプタン15mg内服を開始. その後, 尿量は著増しおよそ1L/日となった. 透析間の体重増加1kg以下に安定し, 週2回透析にて水分管理が可能となり, QOLも改善した. トルバプタンの水利尿効果は2年以上継続している. トルバプタンを含む利尿薬の併用療法は, CKDG5A3を伴う慢性心不全患者においても尿量増加をもたらし, 週2回透析の維持に有効な場合がある.