日本透析医学会雑誌
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症例報告
レボフロキサシンによる腱障害を発症した透析患者の3例
岡 英明宿理 朋哉相原 成志原 雅俊是澤 麻衣上村 太朗原田 篤実
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2014 年 47 巻 11 号 p. 703-708

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抄録
症例1は54歳, 女性. 慢性間質性腎炎で血液透析中であった. 膀胱炎でレボフロキサシン (LVFX) が開始され, 4日目より両側アキレス腱 (AT) および両拇指伸筋腱, 屈筋腱の疼痛が出現した. 服薬を中止するも改善せず, 薬剤性腱障害と診断した. 薬剤中止後2か月で両拇指痛は消失し, 4か月後に両AT痛も消失した. 症例2は79歳, 男性. 慢性糸球体腎炎で腹膜透析中であった. 好酸球性腹膜炎でステロイド内服中にCAPD腹膜炎でLVFXが開始され, 4日目より右AT痛が出現した. 5日目に服薬を中止したが改善せず, MRIで右AT断裂と診断した. 腱縫合術を施行するも2か月後に再断裂した. 症例3は82歳, 男性. 腎硬化症で血液透析中であった. 敗血症でLVFXが開始され, 2日目より両AT痛が出現した. 2週間の内服終了後1週間で完治した. フルオロキノロンによる腱障害はよく知られていないが, 高齢やステロイド, 慢性腎不全などがリスク因子であり, 透析患者では注意が必要である.
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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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