日本透析医学会雑誌
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症例報告
特発性血小板減少性紫斑病の合併に対しロミプロスチムの治療効果により安全に血液透析を導入できた末期腎不全患者の1例
三浦 裕子山本 起代子立枩 良崇河渡 恒延池田 一則葛谷 明彦佐藤 元美青山 功
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2014 年 47 巻 12 号 p. 743-747

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抄録

症例は66歳, 男性. 慢性腎不全のため当院に通院中, 下痢, 嘔吐の症状が出現し, その後腎機能の増悪, 血小板減少の進行を認め入院となった. 血小板数低値は持続し, 骨髄検査, 血清学的評価から特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断した. プレドニゾロン (PSL 40mg/日), ヘリコバクターピロリ菌の除菌治療を開始したが, 4週間経過後も血小板数の改善はみられなかった. トロンボポエチン受容体作動薬 (TRA) であるエルトロンボパグの内服でも反応がみられなかったが, ロミプロスチムの皮下注へ切り替え, 増量したところ血小板数の改善がみられ, 自己血管内シャントを使用して安全に血液透析を導入することができた. TRAは腎不全患者に対して慎重投与となっているが, 今回末期腎不全, 透析導入期にロミプロスチムを安全かつ有効に使用できた症例を経験したので報告する.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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