日本透析医学会雑誌
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症例報告
腹膜透析カテーテルに卵管采が巻絡し閉塞した6例
松井 浩輔都筑 優子船木 威徳窪田 実
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2014 年 47 巻 9 号 p. 569-574

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抄録

腹膜透析 (PD) カテーテルの閉塞は非常に深刻な合併症の一つである. 原因としてはフィブリン塊・凝血塊による閉塞, 腸管や虫垂, 腹膜垂, 大網, 卵管采等の腹腔内臓器の巻絡, 腸管間隙への迷入, Kink (折れ曲がり) があげられる. その中で卵管采によるPDカテーテルの閉塞の報告は比較的まれである. 王子病院では卵管采によるPDカテーテルの閉塞を6例経験した. 症例は35~77歳 (平均56.5歳) の女性で, PD導入後注排液不良が認められた. 術前検査としてPDカテーテル造影, CT, 超音波検査を行ったところ腹腔内臓器の巻絡が疑われた. 巻絡に対する治療として腹腔鏡手術やCRF (catheter repair by a forefinger) を行い, PDカテーテルから卵管采を摘除, 切除した. 術後PDカテーテルの機能は良好となり, 卵管采切除後は再発も認められなかった. 卵管采によるPDカテーテルの閉塞の一般的な特徴は, 閉経前の女性に多い, 右側に多い, PDカテーテルの位置異常は伴わないことが多い, 下腹部痛を伴うことが多い, 最初は腹圧性尿失禁と考えられることがあるが, 膣から透析液のリークが認められることがある, late onsetでも生ずることである. これらの症状が認められる場合はPDカテーテル閉塞の原因として, 卵管采の巻絡を考慮する必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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