日本透析医学会雑誌
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症例報告
高齢透析患者に透析量の減量が栄養状態の改善に功を奏した1例—アミノ酸代謝による考察—
佐野 博之北川 裕貴本庄 克代実広 純子松本 三起子竹下 幸世美川畑 智子増田 裕紀子高見 奈加杉原 由修北浦 圭介
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2017 年 50 巻 8 号 p. 519-526

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抄録

透析中におこる血圧低下や下肢筋の硬直対策として, 今日まで, さまざまな工夫がなされてきたが, 頻度は減少していないといわれている. われわれは, 透析前半の急速な溶質除去を抑制することで, 透析中の血圧低下や下肢筋の硬直を予防できるのではないかと考え透析条件の見直しを行った. 結果, 透析中の処置回数の激減と生命予後の指標が上昇したので報告する. 【症例】81歳女性, 透析歴21か月で血圧低下や下肢筋の硬直を頻回に起こす症例である. 【方法】溶質除去を抑えるため, 透析条件はQD 200mL/min, QBは透析開始から漸増する設定 (低効率透析) とし, 血圧低下と下肢筋の硬直の発生頻度と生命予後の指標である, 血清アルブミン, %CGR, BMIについて検討した. 【結果】血圧低下に付随する処置回数は通常透析時, 下肢筋の硬直17回, 除水量の減量19回であったが, 低効率透析に変更後はそれぞれ1回と激減した. 生命予後の指標は, 血清アルブミン値, %CGR, BMIすべて上昇した.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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