日本透析医学会雑誌
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原著
腹膜透析選択に関連する因子についての検討
福田 亜純川口 武彦首村 守俊友成 雅大李 紀廉諸岡 瑞穂兵頭 正浩岡田 絵里今澤 俊之
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2022 年 55 巻 5 号 p. 293-300

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抄録

【目的】腎代替療法(RRT)選択外来受診患者におけるPD選択に関連する因子について検討した.【方法】2011年4月1日~2017年8月31日に千葉東病院でRRT選択外来を受診し,透析導入した356名を対象としてロジスティック回帰分析を行った.説明変数は年齢,性別,受診時eGFR,HbA1c,糖尿病の有無,心胸郭比,ADL,家族支援の有無とした.層別解析として65歳以上・未満に分けて検討した.【結果】HD選択群は262名(74%),PD選択群は94名(26%)で,PD選択率は経年的に低下傾向であった.PD選択に関連する因子は高齢〔オッズ比(OR)0.74(/10歳),95%信頼区間(CI)0.60‒0.82〕,低eGFR〔OR 0.89(/1 mL/min/1.73m2),95%CI 0.82‒0.96〕,糖尿病(OR 0.41,95%CI 0.22‒0.76)であった.層別解析では65歳以上で家族支援が関連した(OR 8.19,95%CI 1.07‒62.9).【結論】高齢者のPD選択率は低かったが,65歳以上で家族支援が関連したことから,訪問看護などの社会的支援によって高齢者でもPDを選択しやすくなる可能性が示唆された.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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