日本透析医学会雑誌
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症例報告
粘液水腫性昏睡を伴う亜急性腎障害に血液透析を行うも甲状腺ホルモン補充により透析離脱しえた1例
中村 優理菜梶原 健吾矢野 裕子松下 昂樹吉井 隆一中村 朋文富田 正郎木下 博之向山 政志
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2023 年 56 巻 5 号 p. 177-181

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抄録

症例は,90歳女性.1年間でCre 1.97 mg/dLから3.86 mg/dLまで増悪する腎機能障害を認め,呼吸苦や胸水貯留も認めたため,透析導入も含め精査加療目的に当院救急搬送となった.入院後精査の結果,粘液水腫昏睡が診断され,持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)とともに甲状腺ホルモン補充を行った.全身状態および腎機能は改善を認め,通常の血液透析(HD)に移行,その後HDも離脱した.甲状腺機能低下症は腎機能障害の原因としては頻度が低いが,速やかな介入によって腎機能は改善するとされている.今回のように腎機能障害の原因検索の際には,甲状腺機能低下症を鑑別にあげて,ホルモン値の測定などの精査を行うべきであると考えられた.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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