日本透析医学会雑誌
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特集:災害時の透析医療に関する広域関東圏連携会議の設立と展望
災害時の透析医療確保に関する広域連携の設立とルール
雨宮 守正加藤 仁齋藤 卓丸山 泰幸池袋 賢一池田 直史黒澤 明松本 郷大島 譲二中里 優一
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2024 年 57 巻 9 号 p. 379-384

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抄録

本邦にある限り地震や風水害の報告が後を絶たず,関東地方でも首都直下型地震の話題が絶えることはない.一方透析医療は,たとえ災害時でも継続することこそが重要な特殊な医療である.埼玉県では,東日本大震災以来,行政とともに災害対策に取り組み,被災者に対する災害急性期医療の骨組みが完成した.しかし透析療法の特殊性を念頭に入れた,大規模災害時の継続する医療という観点では不十分であった.そこで,広域関東圏(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,栃木県,群馬県,新潟県)で連絡を取り合い,「透析医療確保に関する広域関東圏連携」を開始した.ここでは,災害亜急性期における透析医療の確保と継続に関する会議を行っている.会議では行政が窓口となり設置要項を定め,災害時の窓口を確認し合い,受け入れ依頼と支援応需のルールを設定した.コロナ禍では感染に関する情報交換を行い,無事乗り切ることができた.また災害時情報伝達の机上訓練も行った.今後は,広域関東圏の連携をより強化し,関東以外の地域との連携も視野に入れ,話し合いを発展させていく予定である.

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