日本透析医学会雑誌
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症例報告
多剤免疫抑制薬抵抗性の抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎による急速進行性間質性肺炎に対して血漿交換が奏効した1例
神山 貴弘浅谷 朋花持田 響今村 洋介宗円 幸子藤原 道雄北 靖彦
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2024 年 57 巻 9 号 p. 409-416

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抄録

症例は54歳男性.入院の2か月前から呼吸困難があり,間質性肺炎の進行を認めたため紹介された.特徴的な皮疹,抗MDA5抗体陽性などから抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎による急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)と診断し,入院した. PSL 65 mg/日,Tofacitinib,Tacrolimusなどを含めた多剤免疫抑制療法を開始し,抗MDA5抗体は低下傾向だったが間質性肺炎の進行,高フェリチン血症が持続し,入院57日目頃から呼吸状態が悪化したため血漿交換を開始した.その後呼吸状態,肺炎像などの改善を認めた.既報によると多剤免疫抑制療法施行下でも同疾患の死亡率は約2~3割と高いが,血漿交換の追加により救命できた報告も散見される.SARS-CoV-2の流行に伴い抗MDA5抗体陽性RP-ILDの症例が増加したとの報告もあり,今後患者数の増加が予想される.本症例の治療経過と既報からの考察について報告する.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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