2025 年 58 巻 2 号 p. 113-119
症例は42歳女性.先天性腎尿路異常(CAKUT)から末期腎不全に至り,X‒19年に生体腎移植を施行した.その後ステロイドを含む免疫抑制剤を内服していたが,腎機能が悪化し,X年に持続携行式腹膜透析(CAPD)を開始した.初回腹膜透析液注入後から,胸部違和感が出現し,胸部X線で右片側胸水を認めた.CT peritoneographyで,横隔膜欠損孔を示唆する所見を認め,横隔膜交通症と診断した.第9病日に横隔膜縫縮術を施行し,第15病日にCAPDを再開した.翌日に胸部違和感が出現し,胸部X線で右胸水の増加を認めた.横隔膜交通症の再発と考え,血液透析導入の方針とした.本例では,原疾患がCAKUTであったことから先天的に横隔膜欠損孔が存在していた可能性や,ステロイドの長期使用が横隔膜の脆弱性をきたしたことが,横隔膜交通症の発症,再発に寄与した可能性がある.移植腎機能廃絶時に腹膜透析を導入した際には,横隔膜交通症の発症に注意する必要があると考える.