日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者における亜鉛欠乏の実態調査と亜鉛補充療法の効果に関する検討
高橋 宏明後藤 順一服部 優宏佐藤 正法北 健吾太田 拓児熱田 義顕谷山 宣之小野寺 一彦堀江 卓珍田 純子山田 夏生沼澤 理絵目黒 順一米川 元樹
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2025 年 58 巻 9 号 p. 414-421

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抄録

【目的】透析患者の低亜鉛血症の実態を調査し,亜鉛補充療法の効果を検討する.【方法】透析患者の血清亜鉛値を測定し,低亜鉛血症の患者から亜鉛欠乏症状の有無を聴取した.希望する患者に亜鉛製剤を投与し,ESA抵抗性指数(ERI)および血清アルブミン(Alb)値の経時的変化と,亜鉛欠乏症状改善の有無について1年間観察研究を行った.【結果】223例中220例に低亜鉛血症を認めた.症状ありは220例中56例であった.症状あり47例,なし27例の計74例に亜鉛製剤を投与した.追跡調査の結果,ERI,Albに有意な変動を認めなかった.症状別の改善率は,口内炎100%,爪の変形75%,倦怠感50%,皮膚炎50%,食欲低下42%,味覚障害33%,脱毛症25%,勃起不全0%であった.【結語】透析患者の多くが低亜鉛血症であった.補充療法後ERI,Albに変化はなかったが,亜鉛欠乏症状は47例中23例(48.9%)で改善した.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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