症例は59歳男性.来院1年前より腹膜透析(PD)を開始した.来院4日前からの腹痛と下痢,排液混濁を主訴に受診した.腹膜刺激症状とPD排液の混濁,細胞数上昇を認め,PD関連腹膜炎として抗菌薬静注と腹膜洗浄を開始した.入院時に採取したCAPD排液培養から複数菌が検出されたが,腸管穿孔を疑う所見はなく保存的加療を継続した.第3病日より排液不良を認めたが,腸炎による腸炎浮腫の影響を考え経過をみた.下痢は改善したが,排液不良は持続していた.第21病日のCTで被包化腹水が疑われ,審査腹腔鏡を施行した.腹腔内は高度に癒着し,PDカテーテルは癒着組織により鞘状に被覆されていた.癒着を剥離しカテーテルを抜去した.血液透析へ移行し,第47病日に退院した.本症例は腸炎を契機とした二次性PD関連腹膜炎によりカテーテルが癒着組織に被覆されたと考えられた.短期間のPD歴や初回腹膜炎でも,高度炎症で腹腔癒着を生じPD離脱に至ることがある.