2026 年 59 巻 7 号 p. 402-409
【目的】慢性透析療法を導入した糖尿病患者の生命予後に対する原疾患の影響を明らかにすること.【方法】研究デザインは後ろ向き観察研究であり,慢性維持透析を導入した糖尿病患者857名を対象とした.透析導入時に糖尿病網膜症かつ顕性アルブミン尿(または高度蛋白尿)を有する症例を糖尿病性腎症ありと定義した.アウトカムを死亡とし,Cox比例ハザードモデルでハザード比を算出した.【結果】中央値4.7年の観察期間中に208名が死亡した.死亡に対する糖尿病性腎症群の調整後ハザード比(vs. 非糖尿病性腎症群)は0.827(95%信頼区間:0.496,1.380,p =0.468)であった.【結論】慢性透析療法を導入した糖尿病患者において,糖尿病性腎症とその他の原疾患で死亡に対するハザード比に差を認めなかった.このことは,糖尿病患者では透析導入の原疾患はその後の生命予後に影響しないことを示唆している.