人工透析研究会会誌
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腎不全と皮膚病変
肥田野 信梅津 隆子
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1980 年 13 巻 1 号 p. 9-10

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抄録
慢性腎不全においては皮膚の乾燥と蒼白化がみられる. 特異的な変化としてurea frostingはほとんど遭遇しない. これに反して透析を受けている患者には種々の皮膚変化が高率にみられる. 80名の透析患者を調査し, 特に目についたのは〓痒症, 乾燥, 爪変化, 発汗障害, 色素沈着, 皮膚萎縮などであった. 〓痒の多くは透析を始めてから出現するもので, 原因として, 窒素代謝産物の血中蓄積と2次性副甲状腺機能亢進症に由来する肥胖細胞の増加が考えられている. 治療には副甲状腺亜全摘術, ヘパリンやリドカインの注射, 紫外線全身照射などが有効とされている.
慢性腎不全患者にみられた以上のほかの皮膚疾患の実例をいくつか挙げた. 痛風結節, 湿疹, 多形日光疹, 痒疹などである. 最後に, 34歳女子の腎移植患者にみられた滲出性紅斑を示した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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