人工透析研究会会誌
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長期女性透析者における生活状況の変化について
今井 和子手島 多美子塚本 初恵籠橋 由紀林 子津枝板倉 和美佐藤 真理伊藤 和子山本 寿美子坂下 悦子
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1983 年 16 巻 3 号 p. 157-161

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抄録

家庭生活の中心的役割を果している主婦が, 長期透析治療を続けるにあたり, 透析者および家族にどのような生活状況の変化が起きているかアンケート調査し, 主婦透析者の社会復帰についての援助活動を検討した.
アンケートは透析歴1年以上の主婦透析者26名と, 家族の意識を把握するためその配偶者に施行した.
透析治療を続ける上で透析者の心の支えとなるものは, 家族の励まし, 子供の成長を糧とすることにあった. 家族の透析知識は透析者から聞く程度であり, 正しい透析治療が家族に波及していない状態にある. そのために家族は透析者を病人としてとらえ, 一人前の主婦業遂行を望む者が少なかった. 透析者の生活状況の変化は, 趣味, 交際時間の減少に加えて家事労働時間にも減少がみられた. 透析者が家族へ依存することにより, 家族の日常生活, 社会活動の時間的制約をもたらす結果となっている.
主婦透析者の社会復帰は, 家庭内で透析治療以前と同様の役割を果たすことが第1歩と考える. 主婦透析者の自立を考える時, 本人の病人意識からの脱脚と同時に透析者に最も影響を与える家族の意識変化が望まれる. 今後は透析者本人と家族を含む視野に基づいた看護活動が必要である事を確認した.

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© 社団法人 日本透析医学会
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