抄録
出血傾向のある透析患者を対象としてヘパリン量を最小量使用するために3種 (無・減ヘパリン, FOY) 各種抗凝固剤を用いた透析を1980年から計141回施行した. その際, 全血液凝固計 (ヘモクロン) で凝固時間を測定し, たえずチェックすることで, HFAKおよび血液回路内の凝固などトラブルなく透析ができた. 方法としては減ヘパリン透析では通常透析と同じであるが, 頻回のヘモクロンによる凝固時間測定の結果により適量ヘパリンを適時ワンショット注入, 無ヘパリン生理食塩水を持続注入器で1時間200ml, 30分間隔にて200ml洗浄注入, FOY, ヘパリン併用ではFOY 3gを溶解した電解質溶液200mlを1時間50ml持続点滴し, ヘパリンは100単位持続注入していく. 各種抗凝固透析には長所, 短所があるが各症例に応じて施行することにより, 効果をあげることができると考える.