人工透析研究会会誌
Online ISSN : 1884-6203
Print ISSN : 0288-7045
ISSN-L : 0288-7045
慢性関節リウマチに対するcryofiltrationの効果と除去物質の分析
黒田 重臣前島 潔篠崎 有三小森 正樹大谷 良樹甘 慶華
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 18 巻 1 号 p. 39-47

詳細
抄録
近年慢性関節リウマチ (RA) に対してsingle-filtration, double-filtrationおよびcryofiltration (CF) を用いた血漿交換療法が行われており, RAの新しい治療法として注目されてきている. 我々は6例のRA患者に対してCFを行い, 著明な臨床症状の改善と, 第2フィルター内に多量の乳白色のゲル状物質, いわゆるcryogelを認めた. さらにこの物質の量はRAの臨床症状とも平行し, CFの間隔をつめて行った場合には, その量も減少することを確認した. またCF療法に対する臨床的反応はリバウンド現象を起すものと, 起さぬものとに大別され, 血清IgM濃度が両群の鑑別に良い指標と考えられた.
さらに我々はRA患者からのcryogelを高速液体クロマトグラフィー (HPLC) と二次元電気泳動法で分析した. その結果, HPLCではAからFまでの6個の物質に分離でき, 特にAおよびDが著明であった. 二次元電気泳動法での分析結果もAおよびDと思われる物質を認めた. さらに各種カラムを使用してHPLCを行った結果, Asahipak GS-520がcryogelの分析に適当であった. cryogelの高分子物質の分子量を正確に決定する目的で, Asahipak GS-520カラムを4本直列に接続し分析した結巣, A物質はさらに3個の物質に分離でき, それぞれの分子量は, A1が1,300,000, A2が1,000,000, A3が640,000であった.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top