抄録
過去に著者らが実施した高リン透析者の諸調査から導かれたものは, 肉のfact-scaleが高く, 特に男子にアルミゲル服用ならば主食や肉の量に関係なく食べて良いという薬物依存の食傾向であった. アルミゲル服用の弊害も問題化される昨今, 蛋白指示量の高い中で, 摂取リンの抑制は容易ではない. 今回はリン値の低い幾種かの食品に注目し, 低リン食を実施し, 若干の効果がみられたので報告する.
食事摂取の的確な把握のために対象を入院患者とした. 高リン群10名, 対照9名とし, 2週間の低リン食を実施した. 指示 (energy 35/kcal/kg, 蛋白1.2-1.5g/kg, リン500mg/日以下, アルミゲル服用条件は変更せず). 低リン食品は, 乾燥卵白, MM-5, アルブ-A, ホワイトエッグ, マシュマロの5種.
結果: 摂取energyは実施前より期間中が全員高く, 蛋白摂取総量に対する蛋白質群の腎臓病食品交換表 (食品分類表4) の摂取比は有意に高リン群が高く, リン摂取量は平均700mg→460mgへ有意に減少した. MM-5は加工した方が好評であり, 他は喫食良好であった. 食パターンは日常のメニューに低リン食品がうまく補完していた. 検査値は高リン群のリン値, Ca・P積は低下し, アルカリフォスファターゼ, BUN, ヘマトクリットに大きな変動はなかった. なお, 摂取蛋白量を高めた低リン食を実施した結果1.3g/kgでもリン値は低下した.