日本透析療法学会雑誌
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ウロキナーゼ固定化フェモラールカテーテル留置中の凝固線溶系の変化
北本 康則福井 博義出口 隆志松下 和孝桑原 邦治中山 真人佐藤 辰男
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1989 年 22 巻 9 号 p. 965-969

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抄録
ウロキナーゼ固定化フェモラールカテーテルを9名 (男5, 女4) の維持透析患者に留置した. 留置後3回の血液透析を行ない, その間のプラスミノーゲン, フィブリノーゲン, フィブリノペプタイドA (FPA), フィブリノペプタイドBβ15-42 (FPBβ), フィプロネクチン, von Willebrand因子 (vWF: Ag, RCoF) の血中濃度を測定した. 留置後第1回目の透析前後で, プラスミノーゲンは81.4±29.0%から87.6±23.5%へ, フィブリノーゲンは397.4±74.7mg/dlから399.0±51.9mg/dlへ, FPAは18.9±31.4ng/mlから9.7±18.7ng/mlへ, FPBβは52.1±13.3ng/mlから45.8±13.2ng/mlへ変化したものの, いずれも統計的に有意差は認められなかった. つづく2回の透析でも, 同様の結果であった. またカテーテル挿入時と3回目の透析前のプラスミノーゲンは70.3±24.5%と81.3±25.4%で, フィブリノーゲンは355.4±102.5mg/dlと404.1±83.6mg/dl, フィプロネクチンは177.0±99.3μg/mlと230.8±52.0μg/ml, FPAは18.9±31.4ng/mlと25.9±27.6ng/ml, FPBβは52.1±13.3ng/mlと59.0±17.4ng/mlであり, いずれも有意差は認めなかった. ただしvWF: AgおよびRCoFはカテーテル留置中, 持続的に高値を示した.
ウロキナーゼ固定化フェモラールカテーテル留置による線溶系の亢進は, 全身の凝固線溶系に乱れを生じさせない程度のものであると考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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