日本透析療法学会雑誌
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四国地区における腎性骨異栄養症 (ROD) の調査
1α-OH-D3の処方状況とCa代謝異常に伴う補助療法の変遷および治療効果について
広畑 衛大林 誠一渡辺 恒明桑原 和則鬼無 信宮崎 雅史
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1990 年 23 巻 10 号 p. 1169-1174

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抄録

我々は, 昭和56年から昭和62年までの7年間, 四国地区における慢性血液透析患者のうち, 824例について慢性腎不全のCa代謝異常に対する治療の状況 (主に1α-OH-D3を中心に) の変遷について調査した. さらに血液生化学検査値およびMD法についても調査し, 1α-OH-D3の臨床効果について検討した. 1. 1α-OH-D3の処方状況: 投与率は年毎に増加していたが, 投与量は低下傾向を示した. さらに投与開始時期は透析導入後早期より行われるようになってきていた. 2. 1α-OH-D3の投与開始時期別による効果の比較: 1α-OH-D3の早期投与 (透析導入後2年未満) によって血清ALPは7年間正常範囲内でコントロールされていた. 一方, 非早期投与 (透析導入後5年以上) によっても血清ALPの抑制効果は十分認められたが正常範囲までの抑制ではなかった. 3. 1α-OH-D3の投与の有無による効果の比較: 非投与群に比し投与群では, 血清ALP, 血清C-PTH, MCI値が改善されていた.
以上の結果より, 血液透析患者に対する1α-OH-D3の投与は, 次第に透析導入後早期から開始される傾向にあり, 早期投与によりその有効性は高まっていると考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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