日本透析療法学会雑誌
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CAPD患者に発生した好酸球性腹膜炎の3例
小林 克寿宇野 裕巳永井 司多田 晃司北島 和一出口 隆栗山 学河田 幸道
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1990 年 23 巻 11 号 p. 1313-1316

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抄録
CAPD (continuous ambulatory peritoneal dialysis) は腎不全の治療として血液透析や腎移植と共に重要な治療法の一つである. しかし最大の合併症として腹膜炎があり, これがCAPD継続の鍵を握っている. 最近この腹膜炎の中に無菌性のものがあることが知られている. 特に排液中の好酸球の割合が多く, 自然寛解をみる好酸球性腹膜炎が注目されてきている. 今回我々は3例の好酸球性腹膜炎を経験した. 3症例ともCAPD導入後2-3週間で発症し, 抗生剤を使用せずに1-3週間で自然治癒した. このうち2症例に肝機能障害が出現した. 好酸球性腹膜炎の発症機転はアレルギー反応と推察されているが, 我々の症例においては末梢血の好酸球の増加はなく, カテーテルの滅菌方法をEOGからオートクレーブに変更したところその後の症例においては1例も好酸球性腹膜炎の発症を認めていない. 好酸球性腹膜炎は自然治癒し腹膜機能も低下させないので, 腹膜炎発症時には白血球分画も測定し, 本疾患の診断をつけることが大切であり, 抗生剤治療は無意味である.
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