日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者の血中に蓄積している蛋白結合性尿毒症毒素であるインドキシル硫酸に対する経口吸着剤の効果
丹羽 利充江本 豊宮崎 高志前田 憲志西本 裕美子山田 宣夫柴田 昌雄上原 康夫
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1991 年 24 巻 3 号 p. 312-316

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抄録

血液透析患者の血清中にはインドキシル硫酸がアルブミン結合して著明に蓄積している. アルブミン結合物質は通常の血液透析法では殆ど除去されないため, 経口吸着剤AST-120による除去効果に関して検討した.
経口吸着剤AST-120を血液透析患者に投与したところ透析前血清インドキシル硫酸濃度は非投与血液透析患者に比較して著明に減少した. しかし, 血清クレアチニン, BUNは有意の低下を示さなかった. また, 掻痒感を訴える血液透析患者にAST-120を投与したところ掻痒感の改善が認められた.
AST-120は血液透析患者の血清中に蛋白結合して蓄積しているインドキシル硫酸の濃度を低下させるのに有効であった. これはAST-120が腸内で産生されたインドールを吸着除去することにより肝臓でのインドキシル硫酸の産生を抑制するためと考えられた.

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