抄録
我々は慢性血液透析患者に脊椎カリエスを発症し, 外科的治療により治癒した症例を経験したので報告する. 症例は39歳, 透析歴5年の女性. 昭和63年12月より発熱, 背部痛が出現し, 抗生剤に反応しないため不明熱として, 平成元年4月当科に入院した. ツ反, 胸写, 胸椎断層撮影, CT, MRI等にて脊椎カリエスと診断したが, 抗結核剤投与のみでは改善せず, 整形外科的手術を施行した. 術後は発熱, 背部痛は消失し, 約3か月のリハビリテーションの後退院し, 外来慢性血液透析へ復帰した. 透析患者の結核症では肺外結核が多いとされているが, 脊椎カリエスの報告はこれまで2例と少なく, 手術療法にて治癒した報告は我々の症例が初めてと思われる.