日本透析療法学会雑誌
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腎後性急性腎不全 (子宮頸癌) の経過中TEN (toxic epidermal necrolysis) と出血性腸炎を合併した1症例
高岡 秀幸桑原 隆上田 恵川口 慶三鈴木 一小竹 親夫瀬尾 俊彦松尾 孝彦戸田 常紀小林 克也辻 由美子
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1991 年 24 巻 3 号 p. 415-417

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抄録
74歳, 女性. 子宮頸癌による両側尿管閉塞のため著明な水腎症をきたし, 呼吸困難と無尿にて入院. 緊急透析を行うと共に経皮的腎瘻造設術 (PNS) を施行した. 子宮頸癌に対し, コバルト体外照射を行った. PNS挿入部および尿より緑膿菌が培養されたためSBPC, さらにCSF (それぞれ5gおよび0.5g/日, 6日間) を投与した. CSF投与6日目にTENが生じたので抗生剤を中止したが, 多量の血性下痢が生じ, 抗生剤中止後16日目に敗血症性ショックをきたし死亡した. 剖検にて全大腸に及ぶ潰瘍と, 皮膚表皮の壊死と表皮下水疱形成を認めた. 出血性腸炎とTENの合併例は未だ報告がなく, 腎不全時の重症薬物中毒発症を考慮する上で興味ある症例と考えた. また, 尿毒症や放射線照射などの免疫能低下状態が出血性腸炎を重症化させたと考えられる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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