日本透析療法学会雑誌
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蛋白結合性尿毒症毒素であるフランカルボン酸のミトコンドリア呼吸抑制作用
丹羽 利充相内 敏弘中谷 一泰江本 豊宮崎 高志前田 憲志
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1992 年 25 巻 4 号 p. 369-373

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抄録

慢性腎不全患者において血清アルブミンと結合して血中に著明に蓄積している3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸 (CMPF) とインドキシル硫酸の細胞毒性をミトコンドリアの呼吸に対する作用から検討した.
CMPFはNADHを基質とするミトコンドリアの状態3呼吸を用量依存性に抑制した. この抑制作用はアルブミン共存下においても同様に認められ, しかも慢性血液透析患者の血清CMPF濃度に相当する50μg/mlにおいても認められた. 一方, インドキシル硫酸はCMPFに比較してかなり弱いミトコンドリア呼吸抑制作用を示した.
CMPFはミトコンドリアの呼吸を強く抑制し, 細胞のエネルギー (ATP) 産生を阻害することから細胞毒性を示すことが考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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