日本透析療法学会雑誌
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慢性透析患者における血清carnitine濃度とrecombinant human erythropoietin維持投与量との関係
松村 正巳畠山 收一荒木 英雄伊藤 正典野村 英樹紺井 一郎竹田 亮祐黒田 満彦宮崎 良一村本 弘昭
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1993 年 26 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
carnitine (CAR) は, 心筋や骨格筋の脂肪酸代謝に重要な物質であるが, 慢性透析患者へのL-CAR投与による貧血の改善が報告されている. そこで血清CAR濃度と, recombinant human erythropoietin (rHuEPO) 維持投与量との関係について検討を行った. 慢性血液透析患者107例を対象とし, 遠心式自動分析装置 (Cobas Bio) を用いた比色法にて, 血清free-carnitine (FC), total-carnitine (TC), acyl-carnitine (AC) 濃度を測定した. 血清FC, TC, AC濃度はそれぞれ, 26.7±10.3, 50.9±16.0, 24.3±11.6μmol/lであった. FC, ACは, 健康成人の血清CAR濃度と比較して, FCは低く, ACは高い傾向にあった. rHuEPO投与前において, Ht 25%未満 (22.1±1.7%) の重症貧血群とHt 25%以上 (27.2±2.6%) の軽症貧血群との血清CAR濃度の比較では, FC, TC, ACとも差は認められなかった. rHuEPO維持投与量 (U/kg/week) とFC, TCとの間には, 有意な負の相関が認められた. 以上の結果からrHuEPO投与における貧血の改善にCARが関与していることが示唆された.
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© 社団法人 日本透析医学会
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