日本透析療法学会雑誌
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巨大な多発性嚢胞腎の管理の経験
馬場 良和城甲 啓治城嶋 和孝林 淳二瀧原 博史内藤 克輔村上 知之
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1993 年 26 巻 4 号 p. 467-471

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抄録
症例1: 47歳男性. 多発性嚢胞腎のため腹部膨満が強く開腹あるいは経皮的に腎嚢胞の穿刺を繰り返していた. 穿刺後腎機能の改善を認めていたが急死した. 剖検にて, 多発性嚢胞腎 (左6,100g, 右6,200g), 多発性肝嚢胞を認め, 両者による腹部大動静脈の狭窄による心不全と診断された. 症例2: 27歳男性. 多発性嚢胞腎のため外来通院中であったが, 腹部膨満と呼吸困難のため入院した. 腎機能の悪化もあり, 透析を導入し, 腹部の膨満がやや軽度になったところで左腎摘出術を施行した. 摘出重量は4,790g, 手術時間3時間20分, 出血量290mlであった. 自尿があり比較的小さな右腎は保存した.
少数例の経験だが, 腹部膨満が強い巨大な多発性嚢胞腎ではいたずらに腎嚢胞穿刺を繰り返さず, 早期に腎摘出術に踏み切るべきであると考えられた.
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