日本透析療法学会雑誌
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嚢胞腎として透析中に発見された結節性硬化症の1例
三股 浩光谷川 龍彦高橋 真一今川 全晴佐藤 文憲野村 芳雄緒方 二郎
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1993 年 26 巻 4 号 p. 579-584

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抄録

症例は30歳の女性で, 8年前から嚢胞腎による慢性腎不全として血液透析を受けていた. 1991年5月17日左側腹部痛を訴え, CTで左腎破裂を疑われて同日当科に緊急入院した. CT, MRIおよび血管造影で左腎腫瘤と腎周囲血腫を認め, 嚢胞腎または多嚢胞化萎縮腎に発生した腎細胞癌の自然破裂と診断し, 1991年5月31日左腎摘出術を施行した. 病理組織診断は腎血管筋脂肪腫であった. さらに顔面皮脂腺腫, てんかんおよび精神遅滞より結節性硬化症と診断した. 結節性硬化症で腎不全を呈するのは非常に稀で本邦では2例目であるが, 腎のcystic changeが原因と思われるのは本症例が初めてであり, 欧米の20例の報告を併せて集計し文献的考察を加えて報告した.

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