日本透析療法学会雑誌
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慢性腎不全患者の保存療法期における骨組織の検討
桑原 守正西谷 真明松下 和弘中村 晃二藤崎 伸太橋本 寛文降幡 睦夫大朏 祐治香川 征
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1993 年 26 巻 5 号 p. 651-656

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抄録

慢性腎不全にて保存療法を施行中の33症例の腸骨骨生検から得られた骨組織においてアルカリコンゴレッド染色, アルミノン染色, ベルリンブルー染色を行いアミロイド, アルミニウム, 鉄の沈着の有無およびその局在部位について検討した. なおアミロイド, アルミニウム, 鉄の染色性の程度を便宜上3段階に分類し, さらにそれらに関連した血清β2-マイクログロブリン値, アルミニウム値, フェリチン値を測定し相関をみた. アミロイドの沈着は血清クレアチニン値が4.0mg/dl以上の19例中12例 (63%) に陽性反応が認められ, 血清β2-マイクログロブリン値が高い程, アミロイド染色性の程度が強まることが分かった. アルミニウムは慢性腎不全代償期のすべての時期の33例中18例 (55%) に, 鉄は同じく33例中18例 (55%) に陽性所見が得られた. アルミニウム, 鉄の沈着部位はいずれも石灰化前線であり, 一部セメント線にも陽性所見が得られた. なおアルミニウム, 鉄の染色性と血清アルミニウム値および血清フェリチン値との間に有意な相関は認められなかった.
今後アミロイド, アルミニウム, 鉄の沈着に対する定量的検索も含めた検討が必要と思われた.

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