日本透析医学会雑誌
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透析患者における低aspartate transaminase (GOT)・低alanine transferase (GPT) の病因
ビタミンB6欠乏との関連性について
小野 慶治小野 高志久末 洋子松股 孝
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キーワード: ビタミンB6
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1994 年 27 巻 10 号 p. 1319-1323

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抄録

透析患者で血漿 (P) GOTやGPTが低値を示すメカニズムは未だ解明されていない. 本研究ではpGOTやpGPTの値とこれらトランスアミナーゼの補酵素であるpyridoxal-5'-phosphate (PLP) (活性型ビタミンB6: VB6) の血漿中レベルとの間に何らかの関連性があるのか, 安定した52名の透析患者にpyridoxine HCl (VB6) 30mgを5週間経口的に与え検討した.
VB6補給前 (Day 0) 17例 (33%) でpPLPが正常域より低く (第1群), それら症例の平均pGOT (9.2±0.3u) とpGPT (8.3±0.7u) は正常pPLPを示す第2群のpGOT (13.4±0.7u) やpGPT (11.4±0.9u) よりも低く (p<0.05), さらにpPLP値とpGOTやpGPT値との間に強い正の相関性 (r=0.57, r=0.68, p<0.01) が認められた. VB6補給後 (Day 35) 第1群のpGOTとpGPTは第2群と同じレベルまでに上昇したが, 補給中止3か月後 (Day 125) 第1群の5例と第2群の7例でpPLPが異常域まで減少し, それら症例の平均pGOTとpGPTはpPLP正常例よりも低値を示した (p<0.05).
以上の結果から透析患者の低GOTやGPTはこれらトランスアミナーゼの補酵素であるpPLPの欠乏が少なくとも原因の一つになっていると考えられる.

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© 社団法人 日本透析医学会
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