日本透析医学会雑誌
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排液内にアニサキス幼虫がみられたCAPD患者の1例
長根 裕藤島 幹彦鈴木 泰
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1994 年 27 巻 9 号 p. 1263-1266

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抄録
症例は42歳, 男性. 多発性嚢胞腎にて1988年血液透析導入, 1991年4月よりCAPDを継続していた. 1993年11月17日夜, CAPDのバッグ交換を行い, 排液異常や混濁は見られなかったが, 排液バッグ内に白い糸状の動く生物を認めるため, 翌日バッグを持参して来院した. 患者は排液5時間前の夕食にサンマの刺身を食したが, 腹痛や消化器症状はなかった. 標本の精査では, アニサキスI型幼虫であった. 本症例の場合, アニサキス幼虫が経口侵入後, 胃または腸アニサキス症を発症することなく腹腔内に穿通し, 排液とともに排出されたものと思われる. 最近は海産魚を生食する機会が多くなり, アニサキス症は年々増加の一途をたどっており, 透析患者の食生活においても寄生虫感染症には十分注意する必要がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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