抄録
症例は39歳のLaurence-Moon-Bardet-Biedl症候群の男性で, 21歳の時に糖尿病と診断されて治療を受けていたが, 腎機能が悪化し, 1989年7月に血液透析を開始した. 1990年10月, 頻回の輸血を必要とする貧血により, 胃内視鏡を施行したところ, ボールマン3型の胃癌を認め, 外科にて手術を行ったが, 1991年9月, 癌性腹膜炎・閉塞性黄疸・DIC症候群を併発し死亡した. 最近, Laurence-Moon-Bardet-Biedl症候群の合併症として腎症が注目されているが, 本症例では, 長期の糖尿病歴にも拘わらず, 剖検組織所見では典型的な糖尿病性変化がなく, メサンジウムの増殖等の原疾患由来と思われる変化を認めたので, 若干の考察を加えて報告した.