日本透析医学会雑誌
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血液透析患者のリン摂取量と血清リン上昇度の数量的解析
金澤 良枝木村 佳子小倉 誠岡田 知也韓 明基高橋 宏実篠 朱美北條 敏夫中尾 俊之
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1996 年 29 巻 11 号 p. 1475-1478

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抄録
血清リン値のコントロールには, リン摂取制限による食事療法が基本である. 本研究はリン摂取量に対する透析間血清リン上昇度 (ΔP) の数量的解析を試み, これに基づいてリン摂取許容量を明らかにした.
対象は残腎尿量100ml/日以下の維持透析患者13名, 平均年齢46.9±8.0歳, 透析歴77.2±36.1か月である. 対象者では週の終わりの透析後から週の初めの透析前 (中2日間) の食事摂取量調査, および透析後, 透析前の血清リン値を測定した. この間は, リン吸着薬の服用を中止とした. 対象者の1日平均リン摂取量は770±102mg/日であった. 透析前血清リン値は平均8.6±2.2mg/dl (4.3-11.6mg/dl) で, ΔPは平均6.5±2.3mg/dl (2.4-9.6mg/dl) あった. リン摂取量と透析前血清リン値, およびΔPとは相関関係を認めなかった. 透析前体重1kg当たりのリン摂取量とΔPは有意 (r=0.862, p<0.001) の相関関係を認め, Y=0.68X-2.88と表現された.
以上より, 血液透析患者のΔPはリン摂取量と透析前体重によって規定されており, 目標とするΔPに対するリン摂取制限量は下記の式により求められると考えられた.
PI=1.47×preBW (ΔP+2.88) PI; リン摂取量 (mg/日) preBW; 透析前体重 (kg) ΔP; 透析間血清リン上昇度 (mg/dl)
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© 社団法人 日本透析医学会
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