日本透析医学会雑誌
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頸部リンパ節結核によるrHuEPO抵抗性を示したと考えられた血液透析患者の1例
矢花 眞知子栗田 和夫渡邊 順高木 信嘉木原 実田村 功一山口 聡南澤 真弓矢野 貴彦前本 智子戸谷 義幸梅村 敏石井 當男
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1997 年 30 巻 9 号 p. 1141-1146

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抄録

頸部リンパ節結核によるrHuEPO抵抗性を示した53歳女性の血液透析患者の1例を報告する.
本例は1986年慢性腎盂腎炎による慢性腎不全にて血液透析導入となった. 必要と判断された場合には鉄剤の投与を行いながら, 腎性貧血に対し1990年よりrHuEPOを週4500単位より投与開始した. 1991年からは週6000単位に増量したが, Htは上昇せず24%以上に維持されることはなかった. 1992年3月に頸部リンパ節結核を発症したため, isoniazid 0.4g/日およびrifampicin 0.45g/日の投与を開始した. 服薬は不規則であり臨床症状は改善しなかった. 1993年1月streptomycin 2g/週, 5週間の投与を開始した. これにより症状が改善すると同時にrHuEPOに対する反応性が良好となり, rHuEPo週4500-9000単位の投与量にてHt28-30%に維持されるようになった. isoniazidおよびrifampicinの投与はそれぞれ1993年5月, 11月まで行った. 現在のところ結核再発の兆候は認められていない. 本例は頸部リンパ節結核発症以前にすでにrHuEPO抵抗性を示していた. その原因として結核菌の持続感染の存在が考慮された. 結核は, 血液透析患者においてrHuEPO抵抗性を生じうると考えられた.

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