日本透析医学会雑誌
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わが国の慢性透析療法の現況 (1996年12月31日現在)
日本透析医学会統計調査委員会
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1998 年 31 巻 1 号 p. 1-24

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抄録

1996年末の日本透析医学会の統計調査は2,968施設を対象に実施され, 2,961施設 (99.76%) から回答が得られた. 1996年末のわが国の慢性透析患者数は167,192人であり, 昨年末に比べて12,779人 (8.3%) の増加であった. 1995年末から1996年末までの1年間の粗死亡率は9.4%であり, 昨年度よりも若干改善した. 透析導入症例の平均年齢は61.51±14.16歳 (平均±標準偏差) と一層の高齢化が認められた. また, 透析導入症例における原疾患の割合は慢性糸球体腎炎が38.9%と昨年よりもさらに減少し, 糖尿病性腎症は33.1%とさらに増加した.
1996年度は新たに手根管開放術の既往, 副甲状腺ホルモン (インタクトPTH), 透析前血液pH, 透析前血液HCO3-, ヘモグロビンA1c等について調査された. 血液透析患者の5.0%に手根管開放術の既往があり, 透析歴が長いほど手根管開放術の既往のある患者の比率は大きくなった. 血液透析患者のインタクトPTH, pH, HCO3-の平均 (±標準偏差) はそれぞれ296.5 (±796.5) pg/ml, 7.34 (±0.15), 20.09 (±3.43) mEq/lであり, 糖尿病の血液透析患者のヘモグロビンA1cの平均は6.80 (±1.64)%であった. 生命予後解析では, 50%以上の透析前心胸比, そして2.0m2未満の膜面積のダイアライザー使用群で死亡のリスクが高いことが示された.

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