日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
慢性腎不全患者にみられた前立腺癌 -酢酸リュープロレリンの血液透析による除去性を検討した1例-
中田 誠司井上 雅晴竹澤 豊小林 幹男栗原 寛山中 英壽
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 31 巻 8 号 p. 1217-1219

詳細
抄録

67歳, 男性. 腎不全のため当科外来を紹介受診. その時のPSAが13.4ng/mlと高値であった. 触診, 経直腸前立腺エコーでも前立腺癌が疑われ, 前立腺のsystematic biopsyにて両葉に中分化腺癌が認められた. 諸検査にて, T 2 bN 0 M 0, Stage B 2の診断であった. フルタミド375mg/日の内服を開始し, 4日後に血液透析導入, 8日後に酢酸リュープロレリンの皮下注射を施行した. 皮下注射1日後, 4日後, 8日後, 27日後における血液透析前後の酢酸リュープロレリンの血中濃度を測定したところ, 透析後には透析前より約10-20%低下しており, 除去率は6.8-20.2%であった. PSA, テストステロンは順調に下降し, 特記すべき副作用もなく, 現在外来で経過観察中である.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top